大麻物語 シーズン1 第8話 「JR尼崎」

大麻物語

入電

飛ばし携帯に、見知らぬ番号から電話がかかってきました。

誰だろう?って売人しかいませんけどね。

電話を取ってみると妙にハイテンションです。

「野菜売ってくれるゆうてメールくれた人やなぁ?」

「はい。買ってくれますか?」

「先に商品見てからやな。今日会える?」

「はい。どこに行けばいいですか?」

「JR尼崎北口で」

「わかりました。何時にしますか?」

「夜7時でええかな?」

「いいですよ」

と、トントン拍子に会話が成立しました。

違法ドラッグの売買は、電話してすぐに取引が始まるようです。

話が早くて助かります。

弟に話すと「急やな。俺行かれへんで。気をつけて行ってこいよ」

そう行って心配そうに僕を送り出してくれました。

いつも心配ばかりしている弟ですが、彼は大切な会社の管理と、大麻の刈り取り、乾燥、植え替えなど、
一番手間がかかり、僕が苦手で面倒な仕事を一切合切、引き受けてくれています。

僕は生産方法の研究、生産物資の選定入手、品種の選定、そして営業と販売に専念できます。

おかげで以前と比べて、毎日がエンジョイでエキサイティングです。

さて、新しいお客さんがお待ちです。

僕らの会社は奈良にありますので、車で尼崎まで結構あります。

でも在庫を掃くためには行くしかありません。

大麻を大量に手元に抱えておくことは、当時の僕らからしたら精神衛生上よろしくありませんでした。

一刻も早く処分したい。罪のない現金に換えたい!

第二阪奈から東大阪線で大阪市内を突き抜けて神戸線へ、

いつも混んでいる阪神高速神戸線をタラタラと走り40分前に尼崎に到着。

尼崎駅はとても大きな駅です。

尼崎は僕らの地元の東大阪地区にはないような大きな街です。

まずはネタをコインロッカーに放り込んで、恒例の現地偵察です。

そういえば指紋をつけないための手袋を忘れました。

時間に余裕があるので買いに行くことにしました。

ちょうど、近代的なロータリーとは対照的な古びれた商店が駅にありました。

そこでしばらく時間を潰しがてら手袋をゲットして準備万端整えていると電話がなりました。



「今どこ?」

唐突なご挨拶です。

「駅の下の商店街にいますよ」

「俺らカラオケボックスに入ってるから、そっちにきて」

「わかりました」

ロータリーを挟んで駅向かいのカラオケボックスに急ぎます。

(なんや、一人ちゃうんか…)

少しキナ臭い雰囲気になってきましたが行くしかありません。

ネタはロッカーにしまってあるし、失うものはない。

道すがらそんなことを考えながら歩いていると、すぐにカラオケボックスに到着しました。

モンクレーを身に纏ったプッシャ

店に入ると彼はフロントで待っていてくれました。

まず目についたのが黒のピカピカのモンクレーのダウンジャケット。

(エラいええのんきとるなぁ、やっぱりプッシャって儲かんのかな〜)

でも、彼は落ち着きがなく、どこか汚れた雰囲気で、失礼ながらモンクレーが少し浮いていました。

少し低めの身長で、体格はガッチリしています。

髪の毛はボサボサでパサパサと乾燥していて、この少し汚れた雰囲気の彼を象徴しています。

モンクレーとボサボサのロン毛

その対比がとても強烈で今でも良く覚えています。

そして彼の態度には全く落ち着きを感じられない。

冬なのに汗をかいてガサガサと常に動いています。

こいつ大丈夫か?

そう思いましたが、大切なお客さんです。

僕は彼の誘うままエレベーターに乗り、カラオケルームに急ぎました。

カラオケルームに入ると冷たい表情の若い女の姿がありました。

とても無愛想で、チラリと視線を向けました、こちらには

無関心で話そうともせず、終始携帯をいじっています。

彼は彼女を嫁だと紹介しました。

最初の電話で仲間がいそうだということで警戒していましたが、嫁だということで安心しました。

しかしそれにしても、ドラッグの売買にいきなり嫁同席とは恐れ入りました。

この方、尋常の神経の持ち主ではございません。

これからも度々感じることなのですが、僕の常識はこの世界では通用しないようです。



Sとの初めての取引

お互い自己紹介です。

彼の名はSと言うそうです。

僕は田中と名乗りました。

偽造免許証の名前が田中だからです。

「商品見せて」

Sは言いました。

「安全のためにコインロッカーに預けてきました」

そういうと彼は不自然に大笑いして

「そんなことせんでも余裕やわ。あんた、ほんまおもろいな」

そう言い放ちました。

ドラッグの所持を日常としている方がどれだけ一般庶民と感覚がずれているか、

3人目のプッシャを目の前にして思い知らされたのです。

「尼崎いうたらガラ悪いでしょう?職質とか多いんとちゃいますの?」

僕が言い訳のように話すと彼はさらに笑い、

「そんなん大丈夫や」

「はよー持ってきてーな。物見やんと話できひんやん」

彼のいうとおりです。

僕が行こうとすると、彼は思い立ったように席を立ち、

「ああ、タバコ買いに行くついでに俺がいってくるわ。どこのロッカー?」

少し不安でしたが、ここに嫁もいるので、ロッカーの鍵を渡しながら彼に場所の説明をしました。

彼が行った後のカラオケルームの雰囲気は重々しいものでした。

ゴテゴテしたネールの指で彼の嫁は携帯をパチパチするばかり。

お互い無言で目も合わせません。

シーーーン

カラオケルームの壁から、酔っ払いの調子の外れた歌声が漏れ伝わってきます。

物凄く長い時間が過ぎた後、彼がガサゴソと部屋に入ってきました。

なんとも動きが激しいのです。

僕の大麻をまるで551の蓬莱の豚まんのように引っ掴んで入ってきました。

早速取引開始です。

彼は物を開封する前にカラオケボックスのカメラの位置を確認しました。

彼もプッシャでした。

なかなかどうして、彼のセキュリティ意識はプロのそれです。

Sは袋を開けました、それからネタを見てもなんとも言いません。

褒められると思って期待していたのですが拍子抜けです。

あまり大麻には詳しくないのか、嫁さんを呼び、

「どうやこの商品は?」

と聞いていました。

どうやら嫁さんの方が大麻に詳しいようです。

それで嫁同席だったんですね。

嫁が大麻のソムリエとは度々恐れ入ります。

彼女は一言、

「ええんちゃう」

それにしてもこの嫁のテンションの低さはなんなんだ。

でもそれで話は決まったようです。

今回はサンプルとしてスカンクとビッグバッズを10グラムほど持ってきています。

全て@2,300円でのお買取で23,000円の売り上げです。

お札を数えながら僕は

「どれくらの量捌けますか?」

そう質問しました。

そうなんです。これからはかなりのペースで量産できることが確定しています。

@2,300で毎月何キロも捌けたら、間違いなく僕の知らない次元の収入になるからです。

Sは自慢げに

「俺は一回に1キロの取引を決めたことがあんで」
と得意げに話しました。

少し胡散臭く感じられたのですが、これからのSの奮闘に期待しましょう。

できれば一回に大量に買っていただきたいとお願いして、

急いでその場を離れました。

そして、愛車のハイエースに乗り込み、生駒山を目指して阪神高速を疾走しました。

大麻を売った後に夜の阪神高速を走るのは、胸がすくような開放感があります。

つづく…

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