大麻物語 シーズン1 第5話 「京橋」

大麻物語 シーズン1 第5話 「京橋」

大麻物語

東海地方の人

さて、

ネタを何としても売らなければなりません。

追い詰められながら、

ネットサーフィンしているうちに、とあるサイトに巡り会いました。

”93、アイス、道具、販売”

「大麻、覚醒剤、注射器のことか?」

東海地方の人らしいこのお方、

かなり手広くやってらっしゃるみたいで、

海外サーバに自分のサイトまでお持ちです。

飛ばしのwi-fiや携帯電話、銀行口座まで販売してらっしゃいます。

これだけgoogleにヒットするのだから相当な取引量だろうなぁ。

何もわからない僕からすると、この人相当やるなぁという印象でした。

 

メールアドレスが書いてああります。

TORで取得したフリーメルアドレスから思い切ってメールしてみました。

 

「ホームページ見てメールしました。大麻栽培したので、もしよかったらネタを買っていただきたいです」

 

すぐ返信がありました。

「今のところ、こちらには良いネタがあるんですが…。まぁ一度見てみますので写メ送ってください」

ということで、写メを送りました。

すると…

「これはダメですね。売り物になりません。こんなスカスカのバッズは売れません」

「実物見てないのにかるんですか?」食い下がる僕

「わかりますよ。バッズのところが毛だらけでスカスカでしょう?そんなもん売れませんよ」

「…」返す言葉がございません。

 

僕のネタは売り物にならないのか?

困った…

困った時の2ちゃんねる

以前から、薬板を見ていました。

大麻の作り方も学びました。

覚醒剤のことをアイスということや注射器のことをポンプと言うことも学びました。

大麻は草、野菜、緑、LSDは紙、MDMAは罰。

色々な薬物の常識を教えてくれた薬板。

でもその頃、薬板はもはやプッシャーたちの宣伝掲示板と化していたのです。

こんなところで堂々と売っているんだ、すごい世界だなとは思っていました。

 

そうか、僕もここで売ればいいんだ。

そう思って書き込もうとしましたが、TORからのカキコはブロックされます。

そこで、

wifiジャック作戦

この作戦を決行することにして、日本橋にお買い物に行きました。

香港製の超強力なwi-fi子機が売ってますよ。

パラボラアンテナがついたモデルまであります。

何キロも先の電波をキャッチできるとか(笑)

一発で脳腫瘍ができそうな恐ろしい機械です。

しかもそんなに高くありません。

早速購入しました。

暗号化キーを解析する専用linuxOSを古いIBMのシンクパットにインストールしましたた。

これが無いと暗号化キーを解析できません。

用意したノートPCに

強力すぎるwi-fi子機をセットして、住宅密集地帯を車で流します。

さながらスパイ映画のようです。

wi-fiをスキャンしているとテンションが上がりますw

セキュリティの弱そうな電波を見つけると、付近に停車、

暗号化キーの解析を始めます。

ものの数分で暗号化キーを特定でき、タダ乗りできます。

人の家のルーターに接続できた瞬間は、なぜか意味もなく興奮します。

市販のルーターのIPアドレスはメーカーで決まってます。

パスワードもパターンがあるので、

デフォルト設定なら好きなように弄ることもできます。

PCのアドレスも予想できます。当然中身を覗ける可能性もあります。

スニファというツールを使うと通信内容を傍受することもできる。

怖いですね。

古いルーターはクラッカーの餌食です。

気になる人はwi-fi周りのセキュリティは強化しましょう。

本当は有線での接続が安全ですね。

さてここからが本題。

 

他人回線の生IPで2ちゃんねるに「大麻売ります」と書き込もうと思いましたが、

待てよ?

マトリ(厚生労働省の麻薬Gメン)は囮捜査をするというぞ。

モノを買うこともあるそうだ。

でも、売ることは絶対に無いと聞く。

売るという行為は犯罪を誘発する行為でもあるとか何とか。

本来起こり得なかった犯罪を誘発することになるから、

道義上マトリ自身は販売できないらしい。

もしマトリに売ってしまったら一発でアウトだ。

だが、売ってるやつに売るなら確実に安全だな!

 

自身でそう結論づけて、

wi-fiジャック作戦は終了。

結局、スパイごっこして遊んだだけでした。

 

やはり、直にプッシャにアタックする他ありません。

 

プッシャへの逆営業

プッシャーか。

プッシャってどんな存在なんだろう〜?

映画で見るような小汚いチンピラを想像してしまいます。

ちょっとしたことですぐにキレる、

ニューヨークの裏通りにいるようなね。

想像のプッシャーは少し怖いですが、マトリに対する安全性は高いです。

 

2ちゃんねる薬板で営業している、

大阪のプッシャーさんたちに営業をかけてみようと、

掲載されている広告を眺めていると、

妙に明るい雰囲気の書き込みを見つけました。

 

「DRUG SHOP 隼」

 

クサとアイスを売っているようです。

装飾を多用していて目立っていたし、

カキコを連投していないところに好感を持ちました。

 

めっきり少なくなった公衆電話を探しだして、

ドキドキしながら百円玉を投入し、電話をかけてみました。

プルルル…カシャッ

ワンコールでいきなりつながりました。

 

「初めまして。わたくし大麻栽培をしていまして、作った大麻を売りたいのですが。ネタを見てくれますか?」

 

「良ければすぐ買いたいです。数はどれくらいありますか?」

 

「あ、ありがとうございます!200gです。あまり良いネタではないかもしれませんが見てください」

 

「わかりました。見てよかったらグラム2000円で全部買います。それでいいですか?」

 

「結構です。よろしくお願いします。」

 

「それでは今日の19時ごろ大阪市内ならどこがいいですか?」

 

「京橋の一号線沿い吉牛隣のタイムズ。わかりますか?」

 

「わかります。それではよろしくお願いします」

 

「あ!もしよかったらこれからもお付き合いしたいので、連絡方法として飛ばしの携帯などお持ちですか?」

 

「ありますよ。持っていきますね。」

 

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 

好感触♡

びっくりするほどスムーズに、大麻取引が決定したのでした。

 

「やった!」

「しかし怖いな」

「ギャングされたらどないすんねん」

「現場警察に見つかったら一発やな」

これまでこのような世界と無縁であった僕はグリグリでした。

せめて準備だけは完璧にしておこうと、

弟に声をかけました。

 

僕「売れるかもわからんで」

弟「ホンマか!」

少しびっくりしたようです。

                                                                      

弟「何時からや?」

僕「19時に京橋や」

弟「準備しやなあかんな」「工場忙しいけど、それ、ついて行くわ」

手袋を装着して、手提げ袋に200gの大麻を詰めて、

弟の車と二台で、作業着を着たまま京橋に向かいました。

京橋という街はいい具合に砕けたこぢんまりとした繁華街で、

僕たちのような作業着姿のおっさんたちが、千鳥足でうろうろしているのです。

そんなわけで、街に溶け込む作業服は、とてもいいカモフラージュになるのです。

一号線の吉野家の反対車線パチンコ屋前、タイムズが見える位置に弟が路駐して

「俺ここで見とくから電話付けっ放しにしといてくれ」と電話してきました。

今から考えたら滑稽だけど、この時は大真面目です。

 

「わかった頼むで、周り、ようみといてや」と僕

いよいよ取引開始です!

ドラッグショプ「隼」

取引15分前に、例のタイムズに止めた僕は、まず手提げ袋を車外から出し、

近くの民家の塀の内側に隠しました。

 

こうしておくと、職務質問にあっても、ギャングされても安全です。

 

取引場所の地形を事前に確認して、頭の中でシミュレート。

路地の形状、道路の形状、隠れられるところ、逃走ルートを想定しました。

テロリストとの爆弾の取引なみに、むだに慎重に取引に臨んだものです。

 

5分遅れで隼さんは到着しました。

ランドクルーザーに乗って。

 

車窓から顔を出して、

「こんばんは〜栽培してる人ですか〜?」

カウチンセーターをラフに着こなして、深刻な顔をしているこちらに、

フレンドリーで親しみの持てるなんとも砕けた笑顔で登場されました。

「ちょっと待ってください。車止めますのでっ、おいおい」と何かを諭しています。

助手席には大きな犬。

どこかで会ったことがあるようなこの優しい雰囲気の彼は、

僕の想像とはかけ離れていました。

 

僕の今までの緊張はなんだったのでしょうか?

場にそぐわず、なんともピースフルな光景に、少し力が抜けましたが、

ここは最後まで気が抜けません。

 

さぁ、ヤクの取引と行きましょう!

 

「こんばんは、初めまして、早速ネタを見てくれますか?隠してますんで取ってきます」

 

「はい。お願いします笑」

と僕が隣の民家の溝から袋を取り出すのをニコニコ見ていました。

 

「これです」

売れるのか突っ返されるのか、

ドキドキしながら渡しました。

 

厳重に梱包されている袋を無造作に開けて、適当にネタを見た後、

袋に顔を突っ込んで、ジップロックに入っている大麻の匂いを嗅いでいました。

黙ってじっと待っていると、

隼氏

「とてもいい匂いがしますね。しかも強い匂いです。これなら売れるでしょう!」

その場で札束を慣れた手つきで数え始め、

タイムズ隣の路上で、ポーンと40万円現金で支払ってくれました。

そしてなんとも親しみの持てる笑顔で、

「これ飛ばしの携帯です。これはお譲りするので、これからもお願いします」
「どんなところで作ってるんですか?」
「知り合えてよかったですよ、あなたのような方を探していたんです」

 

そう言われてびっくりしました。

そうか、僕を探してくれていたのか…

 

プログロアー誕生

隼氏を見送ったあと、

重い荷物を手放して、すっかり懐が暖かくなった僕は、

ホッとして気づきました。あ、弟に連絡せな。

 

繋がったままの携帯を取り出して、

弟に話しかけました。

 

「聴いとったか?」

「よかったな。全部聴いとったで。せやけどあいつ、Hに似とったな笑」

そうなんです。

弟の学生時代の友人Hに見た目も、

ゆる〜い雰囲気もそっくりなのでした。

そういえば彼も大麻好きでした。

 

「帰るわ。大金持ってるから気をつけてな」

そういって、彼は彼の愛する家族が待つお家に帰りました。

 

帰りの車の中で、独り「やったやったやった〜〜」

という気持ちがじわじわとこみ上げてきました。

単純に大金を得た喜びと、

一線を超えて、もう後戻りできないぞという不安。

 

これまでの平穏な生活では決して味わえない、

快感ともいえる複雑で高揚した気持ちになりました。

 

真面目にルールを守ってきた人間が一線を踏み越えた姿とはこういうものです。

大麻を作ることには全く罪悪感を覚えませんでした。

ですが、作った大麻をプッシャーに売るとういう行為には、

なんとも言えない背徳感が付きまとうものです。

求められているにも関わらず。

 

帰りにそのままセブンイレブンに立ち寄り、

先ほどゲットした札束を急いでATMに投入です。

カシャシャシャシャ

ATMがお札を数える心地よい音を聞きながら、

こう思いました。

これで僕はこれからも今までと同じように生きていける!

 

機械に飲まれたらどんな金も同じ、

ただの数字です。

手元から大麻取引で得たお金をATMに処分して、

すっかり罪悪感も消え失せた僕は

足取りも軽く、かみさんの待つマイホームに帰ったのでした。

つづく…

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