大麻物語 シーズン2 10話「アラジンと魔法のランプ 」

大麻物語

アラジンと魔法のランプ

GWも終わっていい天気になってきた。
今日はかみさんとりんくうアウトレットにお買い物。
平日のお昼からいい気なもんだ。

去年、自分の給料が無くなるという危機に直面した。
僕は経営者なので、失業保険なんて気の利いたモノなんてない。
そんな切羽詰まった所から大麻栽培を始めて半年足らず。
紆余曲折はあったものの何とかやってこれた。
いや、何とかやってこれたなんてレベルではなく、収入面だけでいうと予想をはるかに上回る。
隼氏に大麻を40万円で買ってもらってから今日まで、もっと大麻を売らなければというプレッシャーは常にあったとはいえ、長瀬君とS、横浜の人、骨折堂の収入を合計すると、以前をはるかに上回る手取りとなった。

生活が一変し、今までの自分はなんだったんだ。そういう気持ちになることがある。
大麻栽培するまでは毎日代わり映えのしない、判で押したような生活の繰り返し。
決まった時間に会社に行って決まった時間に帰る。
トラブルが起こればうんざりしながらも残業し、精も根も尽き果てた状態で帰宅。
そんな生活をするために生まれてきたのではないと感じていたが、どうしたら良いのやら判らなかった。
僕はこのままでは終わらない、いつか何かが起こって、こんな生活とおさらばするだろう。
魔法のランプが天から降ってきて僕はアラジンになるんだ。
今の生活は仮の姿で本当の自分ではない。
そう思って生きてきた。

まさか魔法のランプが大麻だったとは想像だにしなかったが。

ストレスレスな生活

ミニマリストという言葉がある。
令和のこの時代の人はシンプルライフが身についていると思う。

でも、僕は違った。
時代遅れの人間かもしれない。
これまである程度豊かな生活をしてきた。
着る服、食べるもの、住まい、車など、子供の頃から一定以上の生活をしてきた。
以前の生活を続けていたのならまだよかったが、僕という人間はなかなかそういう訳にはいかなかった。

大麻栽培という魔法のランプを手にして以来、毎日の生活はさらに贅沢になった。
お金で全ては解決できないが、お金が余分にあるというのは実際いいものだ。
僕たち家族は二人っきりなので、毎月使えるお金が50万円を超えると生活は随分楽になる。
たとえば、それくらいの収入があるとある程度食べたいものを食べることができる。
超高級フランス料理や懐石料理ばかり毎日食べていたら、毎月50万円つかっても足らないだろう。
でもそんなディナー、たまに食べるとおいしいが毎日食べたいとは思わない。

僕たち夫婦は主に家食だ。
普段は家でゆっくり食べ、寿司や焼き肉を食べたい時は、たまに外食する。その程度だ。
家で食べるのが一番楽しいと思っている。
だからスーパーに行くのがとても楽しい。
売り場を見て、牛しゃぶを食べたいのに、手元不如意で豚シャブで妥協することもなくなった。
今まで外国産ビーフを仕方なく食べていたのにこれからは和牛のステーキを何の迷いもなく買える。
チリ産トンプソンシードレスの代わりに山梨のシャインマスカット。
本マグロのトロ、輸入チーズ、等々、食べたかったのに食べることを我慢していた。
たまにしか手を出せなかった食材に手が届くようになった。
これは僕たち夫婦にとってはとても幸せなことだった。

お金に余裕があると他にも良いことがたくさんある。

例えば車の運転。
これまでは高速道路を使うことはあまりなかった。
10分5分時間を使っても、多少運転が面倒でも下道を走る。数百円を節約したいからだ。
だか今は迷うことなく高速道路だ。渋滞していても高速道路にとりあえず乗る。
多少混んでも下道より高速が遅いことはほとんどない。
空いていると運転が楽しい。飛ばしても、流しても。そして楽だ。余計なことを考えなくてもいい。
さらに歩行者や自転車、原付がいないので、事故のリスクも少ない。
そして何より嬉しいことに信号もない。
僕は止まるのが大嫌いだ!

その他にも、ビビッときたブランド品衝動買いできる。
スマホを頻繁に買い替えたりもできる。
思いつき直感で行動して後悔なんてない。

大麻を作って本当によかった。
自由になるお金があるって素晴らしい。
多少は苦労したけど、しみじみそう思った。
お金がなくなるという恐怖から解放されたんだから。
お金があればいいことだなんて当たり前だけど、その立場にならないと実感なんて湧かない。
持ってみないとお金のありがたみと限界がわからないところなんて、人生は皮肉だ。

りんくうアウトレット

GWが終わって、ガラガラのアウトレット。

ほとんど、かみさんのお買い物にお付き合いするだけだが、あるカバン屋さんの前で足が止まった。
ゼロハリバートンだ。
僕が学生の時に流行ったやつ。
ハリウッド映画でテロリストが核爆弾の起爆スッチなんかを納めてる。
ピカピカのシルバーのアタッシュケース。
これはドラッグを入れるのに相応しいケースだ。
エルメスやヴィトンは大麻には相応しくない。
僕はとても重たい頑丈なシルバーのゼロハリを衝動買いした。
これから関東に行く時はこれに大麻を入れて行こう。


かみさんの買い物もある程度終わってのんびりしていると、飛ばしの携帯から電話が鳴った。
僕は携帯を2つ持っていることをかみさんに知られたくなかったので、トイレに行くふりをして電話を取った。

信濃町の人だ。
「次収穫できたら連絡してくれると行ってたじゃないですか!どうなってるんですか?」
と、いきなりこちらを責める口調だ。
反社会的な人間にも色々いるが、あまりにエゴイストな人、またはそれを隠せない人とは付き合い辛い。
「値段が合わないので連絡することを見合わせていました」
そう適当に受けると
「それはあんまりじゃないですか?こっちは待ってたんですよ」
そう言われても売る気は無いので
「それは申し訳なかったです」
と行っておいた。
しばらく無言でいると向こも諦めて、
「まぁいいですわ。でも連絡は欲しかったですね」
彼は捨て台詞を言って連絡を切った。
(連絡がないということは売りたくないと察してくれたらいいものを、わざわざこんな電話をかけてきて気分が悪いなぁ)
そう思いながら暗い顔をしていたらそれを見とがめたかみさんが
「仕事でなんかあったん?」
心配して聞いてきたので、
僕は
「いや、会社の機械が故障してな、ラインがストップしてるねん」
そう言ってごまかしておいた。

アラジンの魔法のランプを持つと、悪い魔法使いに狙われるものだが、実際そういうこともこれから起こるかもしれない。反社会の人たちは堅気の方々とモラルが全く違う。
普通の日本人とは違うルールの中で生活されている。
契約書などなくても言質を取られたらそれを笠に着て恫喝してくることはよくある。
(これから気をつけなあかんな)
そう思ってかみさんに
「ちょっと早いけど会社に戻るわ、帰ろか」
そう言って、買い物を予定より早く切り上げて帰宅した。
会社に戻ってキメ友サイトをチェックしていると飛ばしに連絡がきた。
「どなたですか?」
「Yです。前に信濃町でお会いしたものですわ」

さっき電話をかけてきた人の親分から電話がかかってきた。
この方、名前をYさんというらしい。
「あいつ、あんまり買い叩くから(僕に)逃げられんで、言うたんですけどね。でもTさん(僕の偽名)もTさんやで、約束したんなら連絡入れたらんと」
なんださっきの話の続きか?
(終わったと思ったのに面倒臭いな。いちゃもん付けて来て、おかしなことにならんかったら良いねんけどな)

僕は胡散臭いものを感じて電話を早く終わらせようと身構えた。
「Tさんの大麻、ごっつい人気なんですわ。俺は買い叩くようなことはせえへん。Tさんの言い値で買うから大麻分けてくれませんか?」
??
思わぬ展開だ。
「はい。そういうことなら喜んで。なんぼくらい要りますか?」
「せやなぁ、100gありますか?」
「グラム2300円で23万円となりますが大丈夫でしょうか?」
「大丈夫ですよ。明日持ってきてもらってもいいですか?」
(あれれ?)
これからヤクザの猛攻が始まるのかと身構えていたのだが、いつの間にかお客さんになっていた。
初めてあった時はミナミの帝王に出てくる親分に風貌の似ている彼をとても警戒したが、話してみると案外人懐っこいいいひとだ。
ホッとして喜んだ僕は今日の嫌な気分がいっぺんに吹き飛んで、嬉々として帰宅した。

滝井

Y氏は滝井に住んでいる。
ここには関西医大病院がある。僕の家族がここにお世話になったことがあるので、昔から馴染みのある場所だ。

そして訪れたことはないが、滝井新地と呼ばれるトワイライトゾーンがある。
大阪は飛田新地がとても有名だけど、ここもその類だ。
でもとてもマイナーな色街だ。
大阪にはこの令和の時代にも「ちょんの間」と呼ばれるお金を払ってセックスをする売春宿がある。

あれ?
確か売春は違法なはずだが。
ここでも法律の運用マジック。
昔からある既得権益だからなのか、なぜか許されているのだ。
そういう意味でもトワイライトゾーンだ。
今回は、大麻取締法は厳格に運用されているのに云々閑雲とはここでは言わないでおこう。



さて、とにかくこの京阪滝井の駅近くにY氏の家はあったのだ。
彼に指定された駅前の喫茶店でアイスクリームが乗っているメロンソーダを飲んで待っていると、いかついジャージを着てサングラスをしている彼が現れた。
体格もよくてこの出で立ちだ、とても威圧感がある。
彼は僕を見つけると笑顔で汗を拭きながら僕の向かい側に座った。
(ビビることはない。ふつうの気のいいおっさんやん)
ぼくが少しリラックスしようとした時、
彼は胸のポケットから煙草を取り出した。
「暑いですね~。あ、おっと!」
マルボロの箱からパケがテーブルに落ちたのだ。
中身はシャブだろう、10gはある。
このおっさん。
ワザと落としたのか、僕を見つめてニコニコしている。
僕がシャブをやるかどうか見極めたかったのか。
もしくはただのお遊びか。

いずれにしても妙に楽しそうだ。
僕は焦って
「こんなところでそんなもん出さんといてくださいよ」
そういってかれにシャブを早く仕舞うよう頼んだ。
ぼくも大麻を100gも持っているのだ。
巻き添えは勘弁してほしい。
彼は
「えらいすんませんな」
そう言いながらシャブを嬉しそうに煙草の箱にしまった。


その後、彼は財布から名刺を取り出した。
名刺には
金の紋章と共に「政治結社〜会」と書いてある。
どうやら右翼団体を主催している人らしい。
さらにシャブや大麻など麻薬もシノギにしているようだ。
彼らは本物のヤクザかもしれない。
そう思うとドキドキして来た。

さて、このまま彼の事務所に入っていいものか…。

つづく…

この物語はノンフィクションではありません。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。悪しからずご了承ください。

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